唐木仏壇は、黒檀・紫檀・鉄刀木などの外国から輸入されたいわゆる唐木を用いていますが、屋久杉・桑・欅などの銘木といわれる和木を用いて製造する仏壇もあります。ここでは唐木仏壇と和木仏壇を総称し、銘木仏壇と呼びます。銘木といわれるためには、・格調が高い・強度が大きく耐久性に優れている・虫などに犯されにくい・乾燥性がよい・木質が緻密で木目が美しい・時を経るうちに気品が高まるなどの条件を満たす必要があります。仏壇で使われる銘木には、つぎのようなものがあります。
黒檀こくたん |
黒檀という場合、実際には本黒檀、縞黒檀、青黒檀などがあり、本黒檀は本来インド・スリランカで産出される漆黒の材料をさす。現在の産出量は極めて少ない。これに対して、縞黒檀は現代の代表的な黒檀であり、仏壇で使われる黒檀もこれである。戦前から今日までインドネシアのスラウェシ島で産出されるものが最も有名である。 (産地)インドネシア |
紫檀したん |
黒檀と同格の銘木である。紫檀は正倉院御物にある唐木細工の中で最も多く見られるものであり、古くから珍重されてきた。かつて紫檀の呼称が混乱していたことがあり、現在でも仏壇店で本紫檀、手違紫檀、パーロッサなどがすべて紫檀として扱われている状況も存在している。現在では大木は少ない。 (産地)ラオス、タイ、ベトナムなど |
鉄刀木 たがやさん |
造林によってアフリカでも産出される鉄刀木は比較的容易に造林できるので、明治時代には台湾で植えられている。鉄刀木をどうして「たがやさん」と読ませるのかははっきりしていない。辺材は淡黄白色で、心材は紫黒色、黒褐色である。辺材と心材の色の差は明瞭。 (産地)東南アジア、アフリカ、中米、西インド諸島など |
屋久杉 やくすぎ |
屋久杉は屋久島に自生しているが、樹齢千年を超えるものが特に屋久杉とよばれる。樹齢千年を越えるものは、百本に4・5本とされる。屋久杉の大半は杢を持ち、その杢も笹杢、波杢、うずら杢などに分類される。木質は濃茶色で独特の木の香りを放つ。また、油脂分が多いことも特徴で、大変腐りにくい性質を持つ。 (産地)日本(屋久島) |
桑くわ |
日本 桑は樺太・北海道から九州にいたるまで自生しているが、銘木として使われる材は極めて少ない。桑の中でも特に良材とされるのは伊豆諸島の御蔵島や三宅島で産出される「島桑」である。年輪が緻密で美しい杢目と粘りのあることで知られている。目が細かく材が美しいことから江戸時代から江戸指物などに用いられてきた。 (産地)日本 |
欅けやき |
欅は木目が明瞭で美しく、強度があり耐久性があることから、古くから神社仏閣の建築材料として使われてきた。広葉樹の中では極めて整った樹形をしており、北海道を除く全国に自生している。現在、銘木として取り扱われている標準的な欅は胴回り3m前後のものであるが、欅独特の杢が見えてくるのは樹齢三百年以上のものとされる。 (産地)日本 |
一位 いちい |
一位は北海道、本州、四国、九州をはじめ、朝鮮半島、中国東北部などに分布する針葉樹。現在、国内では北海道が主産地である。一位は肌目が美しい紅褐色で、その光沢が多くの人々に愛され、書院風和室、数奇屋風和室の床の間材として欠かせない材料となっている。仏壇材としては東京で主に使われている。 (産地)日本 |
桜さくら |
バラ科に属する広葉樹。日本を代表する花を咲かせる桜もまた銘木である。工芸品として使われる桜は、本桜、すなわち山桜であり、これは堅さが均一で、材質が密でやや重く強靭である。色は淡褐色で古い木になると淡青色の縞模様のような筋ができる。 (産地)日本 |
楠 くすのき |
楠は直径2mにもなる常緑喬木で、防虫効果のある材料として知られている。いわゆる樟脳の原料となる木であり、赤褐色の心材で作られた箪笥などは衣類の保存用として最適である。材質は柔らかく、杢目の美しい幅広の材料を得ることができる。飛鳥時代に作られた仏像の多くは楠を材料としている。 (産地)日本 |
槐 えんじゅ |
槐はマメ科に属する落葉樹で、樹高は15m、直径は60cm程度。山野に自生し、国内では主に北海道でとれる。関東以北の農家では古くから鬼門除けとして植栽されてきた。槐は明治以前から床柱などに使われ、その多くは表面を染色、塗色され、置棚、本棚、机、卓などの指物に用いられてきた。 (産地)日本(北海道) |
このほか柿・黄王壇などの唐木も仏壇の材料として近年多く使われています。
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