わが国で仏壇をまつるようになったのは、今から遠く遡ること一千年以上も前、天武天皇の時代にそのルーツを見ることができます。有名な法隆寺の玉虫の厨子は最古の仏壇としてよく知られています。
仏壇が一般の民衆に広まるのは、それからかなり後のことです。室町時代になると浄土真宗の蓮如上人が各家庭に仏壇をまつるよう説いたため、まず浄土真宗の門徒の間に仏壇が広まりました。これが金仏壇のはじまりです。さらに江戸時代に入ると檀家制度の定着により、浄土真宗系以外の宗派にも仏壇が広まります。
明治時代に入り浄土真宗系以外の宗派で、各宗派の持ち味を出そうと作られたのが唐木仏壇です。唐木仏壇は金仏壇と違って金箔などの豪華な装飾があまりなく、その代わりに木目の美しさが生かされているのが特徴です。黒檀・紫檀・鉄刀木などの唐木のほか屋久杉・桑・欅・桜などの素材も使われます。 現在、徳島・静岡・会津などの産地で生産されています。
高級家具、細工物などに賞用されている木材につけられたグループ名で、黒檀・紫檀・鉄刀木などのことをいいます。唐木という名は、かつてこの木材が輸入されはじめた時期、東南アジアから中国人の手を経て取り引きされていたり、中国の工芸品に多く利用されていたことから、唐から来た木材、あるいは唐の工芸品に多く用いられているという意味でつけられたものと思われます。